魔性の微笑 - Thailand Fiction 14

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Aorは夕暮れのシーロムにいた。就職はそんなに甘くはなかった。チェンマイのユニバーシティは所詮田舎の学校だった。プライドが高い彼女には耐え難かった。
Aorは子供の頃から何でも思い通りにならなければ気がすまなかった。流行の物は何でも学校で一番最初に手に入れた。周りの人々は彼女の天性のおねだり上手の前に成す術もなく頷く・・・澄んだ瞳と微笑みが魔物だった。愛らしいマスクの下には強欲を隠していた。

あの時もそうだった。ハイスクール最後の年は何でも彼女の思い通りだった。成績も、スポーツも、ファッションも・・・文化祭のイベントでは当然の如くミスに輝いた。
まるでプリンセスのような日々を送っていたある日、Aorはチェンマイの街角を仲良く手をつないで歩くファランのカップルを見た。「なんかいい・・・絵になってる、幸せそう」消えかかっていた羨ましいと思う気持ちが一気に高まった。
「私もああして歩きたい・・・もうすぐロイカトーンだし」そう思うと友達のNunに電話をした。
「イケ面で背が高い子知ってる?・・・ああKitね。目立たないけど確かにまあまあいい顔ね」
あとは簡単だったNunに「Kit!あなたもてるわね。Aorがあなたのこと気に入っているわよ。ロイカトーンに誘ってみれば・・・」と言わせればいいだけだった。

Kit とはそうして始まった。恋人というより連れて歩くアクセサリー兼召使だった。Aorが愛したのは自分だけだった。やさしいのは言葉だけで気持ちはなかった。して欲しいことをさりげなく言うとKitは何でもした。送り迎えから荷物持ち・・・Aorにプレゼントするためバイトに精を出した。まるで奴隷のように・・・でもそれがKitの喜びだった。そして結婚を夢見た。

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by Sukhumvit_Walker | 2008-10-29 15:12 | Thailand Fiction | Trackback | Comments(0)  

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