チェンマイの宝物 - Thailand Fiction 5

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「このバスだろうか・・・それとも着いてるのか?」そう思いながらKitはモーチットのバスターミナルでAorを探していた。AorはチェンマイにいるKitの恋人だ。彼女が大学を卒業したら結婚したいが、稼ぎが少ない彼をAorの父親が嫌っていた。Kitは稼くためにクルンテープに来た・・・Bangkok Dreamを夢見て・・・学歴もない彼に昼間の高収入の職があるはずもなく、友達に夜の仕事を紹介され見様見真似で始めた。

Aorとはハイスクールからの付き合いだ。頭が良くて美人・・・最初は遠くから眺めているだけだった。淡い初恋だった・・・あのロイカトーンの夜までは。
メナーム川の岸辺で花火が打上げられ・・・ステーションから着飾った女達のパレードが来る。プラテイープのろうそくがロマンティックに揺れる。チェンマイのロイカトーンはシャイな少年だったKitに魔法をかけ勇気を与えた。
今でもその夜のことは幻想のようだ。ナイトバザールのフードコートに呼び出したまでは覚えているが、何を話したのか?何をしたのか?・・・すべて幻のようだ。夢の世界で結ばれた・・・気がついたら手をつなぎピン川の河原を歩いていた。

それ以来Aorは特別な存在・・・神様から授かった宝物だ。その彼女から電話があったのは朝6時前だった。寝入りばな夢うつつで電話に出たがAorの声を聞き飛び起きた。

「急に就職の面接が今日になったから最終のバスに乗ったの。仕事が終わったころ電話をしたんだけど・・・仕事遅かったの?・・・」
確かに電話を受けるときディスプレイを見たら着信有りだ。Farと一緒で全く気付かなかった。
  「ごめん酔ってて・・・バスターミナルまで迎えに行くから・・・」 
そう言って電話を切ると、寝ているFarに構わずアパートを飛び出した。

★Back Number
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by Sukhumvit_Walker | 2008-08-28 19:42 | Thailand Fiction | Trackback | Comments(0)  

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