イージー・マネー - Thailand Fiction 9

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アパートに向うタクシーの中では、悲しみより怒りがFarを支配していた。もうあんなやつと別れようと思い始めた時、ふとジュンイチの顔が浮かんだ。電話があったかどうか酔って覚えてない。携帯を取り出すと電源がOFFになっていた。電源を入れるとSMSが来た。おびただしい数の着信・・・やばい!本能的に電源をOFFにし、ジュンイチへの言い訳のため頭を整理し始めた。ジュンイチを失うわけにはいかなかった。まだまだ田舎の家族のためにお金が必要だったし、やさしい彼が嫌いではなかった。言い訳を考えてた思考がいつしかジュンイチとの出会いをトレースしていた。

Farは神様が唯一与えてくれた美貌という才能を最大限活用しお金を稼ぐために、21歳でウドンタニからバンコクに出てきた。タニヤでは日本人相手に少しの我慢でイージーにお金が稼げた。虫唾が走りそうな男でもお金を思い浮かべながら我慢した。
ウドンタニでの1ヶ月の稼ぎが1晩で稼げた。お金と引き換えに心はどんどん寂しくなっていく。でも一旦味をしめた生活は変えられない・・・最初は弟妹の学費稼ぎにやった仕事が家や車のためになっていた。寂しい心を紛らわすように客をとった。

やがて寂しい心の隙間に、少しやさしい常連客が入り込んできた。スクンビットのアパートで半同棲が始まり結婚を夢見た。でもそれは夢だった。甘く愛を語った男も日本への帰国が決まると途端によそよそしくなった。「お前もビジネスだっただろ・・・他の男と寝る女とどうして結婚できるんだ。お前は飲むだけの仕事にチェンジしたと言ってたけど、俺が何も知らないと思っているのか?」最後にそう言われ泣きながらアパートを後にした。

そんな時タニヤで働くオカマのSomchaiから日本行きの話をもらった。以前お店の先輩のCatから日本に行くことを誘われたが、150万バーツ借金しての不法入国に躊躇しているうちにCatはさっさと行ってしまった。Somchaiの話は基本飲むだけの仕事、偽装結婚して観光VISAで入国するものだった。行けるかどうかは運次第、でも不法入国より借金のリスクは少ない・・・取りあえずあてにせず話に乗った。捨てた男を忘れるためにもお金を稼ぎたかった。

★Back Number
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by Sukhumvit_Walker | 2008-09-17 23:13 | Thailand Fiction | Trackback | Comments(0)  

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